スマートフォンやSNSなどを用いて誰もが手軽に「写真日記」のようなライフログを残せる現代。しかし、これに先駆けること40年以上前に、野上眞宏はスナップショットを日々の習慣とすることで、「写真日記」を実践していました。写真が趣味のひとつだった少年がプロの写真家を志し、修業時代を経て、やがてアメリカへ旅立つ。これはまさに、写真で見る個人史そのものです。
今回の作品化にあたり、野上眞宏自らが’Coming of age story’(青春成長物語)として全体を構成。テキストによる詳細な解説やオーディオ・コメンタリーも添え、パーソナルな歴史をまるでタイムマシーンに乗ったように辿りながら、見て、読んで、聴いて、その時代を知る面白さにあふれています。
ステージに肉薄したライヴ写真、スタジオの濃密な空気を伝えるレコーディング風景、レコード・ジャケット用の貴重なフォト・セッションはもちろん、メンバーに最も近い場所にいたからこそ撮影できたプライベート・ショットまで、今回新たに公開される秘蔵のカットも含め、日本語のロックを築き上げた「はっぴいえんど」関連写真を集成。
さらに、野上眞宏の周辺にあった1960〜80年代の東京・アメリカの音楽シーンを捉えた写真も充実しており、新旧の音楽ファンにとって第一級の研究資料となるでしょう。
経済成長とともに変わりゆく街並。今ではもう見られない建築の姿。懐かしい店構えや住宅の佇まい。昭和の生活感。自由で開放的な若者たちのカルチャー。人々の表情。ファッション。野上眞宏が気の向くままにスナップした一つひとつのカットは、1960〜70年代の東京と、そこに息づいていた時代の空気を映し出しています。これらを可能なかぎり収録することで、当時の東京文化をリアルに伝える、将来的にも有用な資料のひとつとなり得るものを目指しています。
1960年代より撮りためられた1万5千に及ぶ膨大なカットを、3年かけてデジタル・スキャン。そこから収録作品を厳選し、1枚ずつ傷や汚れを修復するのに、さらに2年もの時間を費やしました。選ばれた写真はおよそ4,000枚。アプリのデータ容量の限界に挑み、出版物という従来の枠組みでは不可能だった圧倒的なアーカイヴを実現しています。
写真には、撮影時の状況や背景、当時の心情などを野上眞宏が綴り、語った、テキストと声による「注釈」を添付。撮影者自身の驚くほど詳細な記憶が、写真を見る楽しみを何倍にも広げてくれます。
野上眞宏とゆかりの深い、鋤田正義、高橋靖子、細野晴臣、松本隆、鈴木茂、柳田ヒロが、ゲストとしてオーディオ・コンテンツに参加。野上眞宏との対談、あるいは単独インタビューで、写真を見ながら、撮影当時の思い出など貴重なエピソードをじっくり語ります。合計収録時間約300分、すべてが録り下ろしの、このアプリでしか聴けないスペシャル・コンテンツです。
タイムラインを順に追うだけが、このアプリの楽しみ方ではありません。表示ON/OFFの切り換えが可能なタイムラインコントローラを指先でスライドすれば、今見ている写真から時系列を飛び越えて、見たい年代へと瞬時にアクセスできます。
写真1点1点に、誰が写っているか・何が写っているかの詳細なタグ付けを行い、キーワード別の一覧表示を可能に。キーワードは被写体や撮影場所だけでなく、撮影テーマやモチーフまでも幅広く網羅しており、多彩な観点から写真閲覧を楽しめます。
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『レコード・コレクターズ』誌に連載され話題を呼んだエッセイ「はっぴいな日々」全回の原稿を再録。さらに今回新たに書き下ろされたエッセイも加えて、読むコンテンツの充実を図っています。
写真解説、エッセイをはじめとするテキスト・コンテンツはすべて英語表示への切り換えが可能。海外にも少なくない「はっぴいえんど」ファンや、日本文化研究者のニーズにも応えます。